FORTUNE ARTERIAL Vol.01 千堂瑛里華
さて今回は 「FORTUNE ARTERIAL」 より千堂瑛里華ルートについて。
千堂瑛里華のヒロイン像
瑛里華には大きく分けてふたつの面があるように思います。
まずひとつの面は序盤での副会長としての瑛里華ですが
こちらの瑛里華は個人的には何というか文句なしに好きかもしれませんｗ
副会長として生徒会の仕事をこなす瑛里華はホントアクティブですよね。
「突撃副会長」 というフレーズも伊達じゃないと思わせてくれます。
そんなアクティブな副会長としての顔はもちろんのこと
息を抜いているときの瑛里華がまた可愛らしいと思うわけで。
イタズラ好きなどといった部分も含めて何とも惹かれる存在だと思います。
何でも言い合える気さくな関係ってホントにいいですよね。
何となく 「遥かに仰ぎ、麗しの」 の三嶋鏡花を思い出したりもします。
彼女とのやり取りにも通じるような瑛里華とのやり取りは
いい意味で対等と呼べるような理想的な関係でないかなと感じましたね。
そしてもうひとつの面が告白シーンをターニングポイントとしたおとなしい瑛里華。
告白シーン以降の瑛里華は 「突撃副会長」 からは連想できないようなおとなしさ。
寂しがり屋の一面を垣間見たりとなかなかに可愛らしさもあるのですが
それ以上にどうにも儚げな様子に不安を覚えたりもするわけで。
ややトーンを落としながらも優しく吐息のように話す口ぶりなんかは
儚げな印象も相まって全力で守ってあげたいと思わせたりもするのですが
そうした中でもやっぱり元気な瑛里華を見たくなったりしますね。
守ってあげたくなるような儚げな瑛里華もいいとは思いますが
できれば瑛里華にはアクティブな副会長でいてほしいと思ってしまいます。
わがままだとは思いますがそうしたアクティブな様子に惹かれた自分としては
もう少し生徒会で活躍する瑛里華と主人公を見ていたかったとも思います。
かっこいい生徒会副会長としての彼女と儚げで寂しがり屋の女の子としての彼女。
そうしたふたつの面をもった瑛里華に感じ入るものがあるような気がします。
吸血鬼の宿命と瑛里華のポリシー
さて瑛里華シナリオに関してはさすがにこれはあんまりではないかと思いましたね。
結局のところ何も解決できていないのではないかとすら感じてしまいます。
トゥルーシナリオへの布石だとしてももう少し救いがあったもよかったような…。
この結末では瑛里華のポリシーは結局何だったんだということにもなってしまい
かたくなに貫こうとした瑛里華の努力を考えると皮肉以外の何ものでもないわけで。
瑛里華シナリオはトゥルーシナリオへの布石だったとしても
結局のところ全て母親の思惑通りというのはさすがにあんまりです。
何をもって解決とすればいいのかは難しいところではありますが
手放しに喜べるようなとまでは言わずとも
最後まで宿命に抗うようなシナリオであってほしかったとは思います。
こうした瑛里華シナリオを見てしまうと期せずして
トゥルーシナリオでのグランドフィナーレを期待したくなるものです。
そんな瑛里華シナリオですが、告白シーンはなかなかよかったと思います。
やや強引ながらもキスシーンを含めて感動できたかなといった感じです。
夕焼けの監督生室というのが何ともにくい舞台設定ですよねｗ
そうした告白シーンを迎えるまでは重いシナリオもあったように感じます。
瑛里華も主人公もお互いに惹かれあっていくわけですが
自分の好きの気持ちに自信が持てない瑛里華は見ていて痛々しいものが…。
吸血鬼としての欲求ではなく私自身が心から好きなんだという確信がほしいという
どこかで見たことのあるような設定ながらも何とも複雑な心境ですよね。
痛々しさもありもどかしさもあり、やきもきさせるシナリオだったと思います。
だからこそ告白シーンがより大切なものに思えたということもあるような気がします。
そしてクライマックスの文化祭もなかなかによかったと思いますが
一方で吸血鬼の宿命に絡んだ不安を抱えてしまっているわけで
手放しにクライマックスを楽しめるような雰囲気ではなかったような気がします。
楽しさの中にもどうしてもつらさや悲しさが漂っているというか。
もっともそのように感じさせる瑛里華の口ぶりは見事だったと思います。
このあたりはやっぱり声優さんの演技がすばらしかったということなのでしょうね。
何気ないセリフの中に今の心境を込めるその手腕は感心の一言です。
そういった点ではシナリオ全体が儚げだったのは逆に成功と言えるのかも。
ところで文化祭のクライマックスで主人公がけっこう無茶をやらかすわけですが
個人的にはこうしたバカっぷりはけっこう好きだったりしますね。
変に全てを悟ったように見せるよりはこう無茶をしてくれた方がスッキリします。
聞き分けが良すぎるとどうしたってつまらなくなってしまいますからね。
何はともあれクライマックスを含めて一歩引いてしまっている瑛里華は
本当に儚げでもどかしさもつきまとっていたような気がします。
できれば序盤に見せてくれたような明るい瑛里華をもっと見たかったですね。
全てを解決できる手段を見つけるのは難しかったのかもしれませんが
さすがにこれは中途半端というかあんまりだよなと思いました。
更新後記
まとめページにてほかのレビューも公開しています。
» [ FORTUNE ARTERIAL まとめページ ]
2008-02-20 (Wed) | COMMENT (0)
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