涼宮ハルヒの考察 白雪姫とsleeping beauty 後編
このエントリーは前編から話が続いています。
前編を先に読んでおくと話がより理解しやすくなるかと思います。
» エントリーはこちら [ 涼宮ハルヒの考察 白雪姫とsleeping beauty 前編 ]
さて、前編にて「涼宮ハルヒの憂鬱」小説1巻における
「白雪姫」と「sleeping beauty」の関連に不透明性について言及しましたが
今回は、それを補完するような形で自分なりの考察をしていこうと思います。
考察する上での前提として
前編で指摘したような、両童話のキスシーンがらみの勘違いはなく
作者さんを含め、キョン、朝比奈みくる、長門有希が
正確に両童話についての内容を解釈していたとします。
まず「白雪姫」というヒントを残した朝比奈みくるですが、
彼女の場合、本人のおどおどした引っ込み思案な正確を考えるに
「キス」という単語は聞いただけで卒倒しかねないような気がします(笑。
そんな性格は大人版朝比奈みくるになっても変わらず
男の人(キョン)に対してダイレクトにキスと伝えるはおろか
間接的にもキスを連想させるようなことも伝えるのが恥ずかしかったのではと考えられます。
そんなわけであえて「白雪姫」を用いたとのではないかと。
つまり、朝比奈みくるが伝えたのはキスシーンによるものではなく、
「閉鎖空間に閉じこめられるような絶体絶命な状況の中でも解決手段は存在する」
といった直接的な解決法を避けた、その方法の存在のみでの意味だったのだと思います。
対して長門有希の場合、朝比奈みくるの抱くような感情は希薄だということもあって
キョンに対しても解決法そのものを「sleeping beauty」におけるキスシーンという形で
正確に伝えることができたのだと思います。
つまり、長門有希が伝えたのは朝比奈みくるの伝えた解決法の存在をふまえ、
「閉鎖空間から脱出するにはお姫様(ハルヒ)に対してキスをしてあげよ」
といった直接的な解決法の指示だったのだと思います。
こうして朝比奈みくるが伝えられなかった「キス」という解決法まで添えて
キョンに対して閉鎖空間からの脱出を示唆したことでキョンも理解することができたと。
こうした解釈ならば、ヒントが時系列において段階的に提示されることになり、
謎解きのセオリーもふまえつつ整合性の取れたシナリオになりえると思います。
つまり、キョンの言うところの「両者に共通すること」とは
「キスシーン」ではなく「お姫様を目覚めさせる」あるいは「ピンチからの脱却」
だったのではないかと思うわけです。これはこれで確かにベタですしね。
といった形で、こんな考察をしてみたわけです。
真相は作者さんのみぞ知るといったところですが、
これで真相は作者さんの勘違いだったとかいうオチだとちょっとへこみますね(笑。
2006-07-18 (Tue) | COMMENT (1)
COMMENT
「白雪姫」も「眠れる森の美女」も原作ではキスシーンは無いですが、ディズニーの作品ではどちらも王子様のキスで目が覚めます。
p297に「義理の娘は毒リンゴをかじって死にました」との文章があり、これは白雪姫の一場面です。
作者は、少なくとも「白雪姫」のストーリーは知っていると考えられます。なので混同していないと私は思います。
2008-05-30 (Fri) | いっしー