FORTUNE ARTERIAL Vol.06 トゥルールート
さて今回は 「FORTUNE ARTERIAL」 より千堂瑛里華トゥルールートについて。
トゥルーシナリオについては全体的になかなか充実しな内容だったと思います。
何というかシナリオに完全に飲み込まれていったというか
久しぶりに時間を忘れて一気に進めてしまうようなシナリオでした。
今回のフォアテリは全体的に臨場感も大切にしているというか
ユーザー自身がその場に入り込んでいけるような雰囲気を演出していましたね。
それが流れるようなシナリオやエフェクト、BGMの影響もあって
全体的にすごく完成度の高い印象を与えているような気がします。
そしてその最高峰たるのが今回のトゥルールートだったとのでないかと。
シナリオの緊迫した様子や徐々に明かされていく真実など
物語の流れに飲み込まれるように一気にシナリオを進めさせる力があり
全体的にすごくクオリティの高いシナリオだったと思います。
とは言え、万事解決のシナリオだったかというと必ずしもそうとは言えないような気も。
グランドフィナーレと呼ぶにはやや視点がせますぎたかなとも感じました。
そういう点では荒削りだったのかもしれませんが
何というか荒削りながらも相当に光るものがあったように思います。
色々と補完しなくてはならない部分もあるような気がしますが
個人的にはトゥルーシナリオのまとめ方としてはなかなかよかったかと。
万事解決とは言えないかもしれませんが、それでも一定の達成感はありました。
その一方で満足感についてはやや複雑なものも。
結局伽耶にとってはまだまだ解決すべき点が残されているような気もして
単純に手放しでは喜べなかったというのがあるのかもしれませんね。
クライマックスでのややご都合主義的なシナリオなど
シナリオの構想としてはよかったのですが、やや急ぎすぎたかなという印象も。
それでもここまでのシナリオを提供してくれたのはさすがだと思います。
とは言え、個人的にはエピローグだけは納得できない部分がありました。
シナリオとしてはきれいにまとまっていたと思いますが
その一方で瑛里華だけでなく他のヒロインの未来まで決定づけてしまっていたり
唐突な将来を形作ってしまっていた点についてはあんまりではないかと。
グランドフィナーレを意識しすぎて先走ってしまったのではないかと思います。
個人的にはこういった結びは何とも受け入れがたいものがあるわけで…。
まあそうした未来の決定をすればいいというわけでもなく
グランドフィナーレと呼ぶにはまだまだ未完の問題も多かったように思います。
ざっと思い浮かぶだけでも永遠の生き続ける伽耶たちの意味や
征一郎と白を含めた東儀家のしきたりについての決着など。
他にも吸血鬼がらみでまだまだ未解決の部分が残っているような気がします。
そうした色々な視点から考えると
瑛里華が吸血鬼の宿命から解放されることだけが
フィナーレと呼べないのではないかと感じたりもしました。
だからといって吸血鬼のまま生き続けろというわけではありませんが
あっさりと解放を決断すべきではなかったのではないかという気もしてしまうわけで。
そもそも伽耶にしてもあっさりと蒼珠を消してしまってよかったんですかね。
伽耶の生き続けた250年という年月の重さを考えると
せいぜい1ヶ月足らずの出来事だけで永遠の中で家族と呼べる存在を
手放してしまってよかったのかと疑問が残るような気もします。
瑛里華にとっては確かに解放されるという点で解決したのかもしれないけれど
見方によっては瑛里華ノーマルルートと同じく逃避に近いのではないかとも思います。
伽耶にとってもあくまで瑛里華たちへの贖罪に過ぎず
瑛里華にとっても伽耶にとってもよい方向へと進んでほしいという目標を掲げてきた以上
それぞれにとっての真の解決をもっと模索してほしかったように思います。
いずれにせよ気になる点は残りもするわけですが
グランドフィナーレと呼べる真の解決を導き出すことの難しい中で
それでも達成感を得ることのできる一定の解決を見せてくれた今回のシナリオは
瑛里華トゥルールートという視点から見ても評価できるような気がします。
多少の心残りはあるものの晴れやかになれるなかなかいいシナリオだったと思います。
更新後記
まとめページにてほかのレビューも公開しています。
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2008-02-24 (Sun) | COMMENT (0)