個性や楽しさを失ってしまうユーザービリティ
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さて上記のエントリーでマンガ感想ブログのあり方について書きましたが
今回はもう少し発展させて、コンビニ化するようなマンガ感想ブログができてしまった経緯、
そしてそこから便利さとおもしろさとの関係について書いていこうと思います。
とりあえず私の中ではコンビニ化というのは感想というテキストが少なく
テキストは基本あらすじ、そして画像を多用することに特化した状態ととらえていますが
そうした状態は 「ユーザービリティが確保された状態」 ではないかと思っています。
もともと感想を書く人にとっては大きく二つの意図があると思います。
「感想を通して自分の思うところを表現したい」 という意図と
「感想を通してその作品を知ってもらいたい広めたい」 という意図の二つ。
どちらにせよ対象となる作品をわかりやすく簡潔に表現する手法として
キャプチャ画像を伴うことで感想を表現していたのだろうなぁと。
つまり最初書こうと思ったときはあくまで画像は補足というとらえ方だったのだと。
ただそれらがニュースサイトなどを通して情報として扱う人が多くなり
感想ではなくあくまで情報ということに価値の重みが置き換わったときに
画像は補足からメインへと変化したのだと思います。
たしかにテキストを読んでそのマンガをとらえようとするよりも
キャプチャ画像を見てその雰囲気をつかむ方が早いし確実ですからね。
いずれにせよそうした画像に価値が求められるようになって
その求めに応じる形で画像を多用するようになったのだと思います。
それはユーザーにとって使いやすく、ユーザービリティを確保するという形で。
もちろんそうした状態が悪いとも思いませんし、
作品を広めるという点においてはむしろ成功しているとも思います。
私自身もそうした観点からお世話になることだってないわけではありません。
ただ、それってすごく残念なことじゃないかなぁと思うわけです。
情報としての価値を求められるままにユーザービリティを追求したことで
そのサイトが本来持っていた楽しさが失われてしまったようにも思うのです。
感想ブログと銘打っている以上は書き手にはその作品に何らかの想いがあって
そうした想いがあふれる個性と暖かみが感想の中にあったと思うのですが
ただ単にあらすじとキャプチャ画像でもって紹介するだけなら誰にでもできますよね。
コンビニ化したパイオニアのブログがたまたま大手になっただけの話。
没個性となった感想ブログはもはやただの紹介ブログ、情報ブログであって
そんな情報ツールとして特化したブログはつまらなくないかなと思ってしまったりも。
ただそれでも情報としての価値は大きいわけだし
読もうとするマンガを選ぶ上ではとても便利な存在だと思います。
いわばコンビニ化したブログは時代の流れの犠牲者なのではないかと。
そんなわけで少なくとも私はたとえユーザービリティが十分でないとしても
自分らしさを出せる感想を書き続けていきたいと思っています。
ちなみに、この話は何も感想ブログだけでなくほかのサイトにも言えると思います。
例えばニュースサイトなんかもこうした傾向があるのではないかと。
情報を提供することに特化してしまったニュースサイトは
その管理人の個性が埋没し便利ではあっても楽しくはないかなと思うわけで。
だからこそそうしたサイトの管理人はオフ会で意見を語ったり
自分の意見を表現できる場所をネット以外に見出さざるを得ないのではないかと思います。
よくニュースサイトの管理人同士がリアルでのつながりを重視するという話を聞くのも
こうしたことが背景のひとつにあるのではないかと勝手に推測してみたりもします。
個人的にはたとえ紹介している記事が少なかったとしても
それぞれコメントがついて管理人が何をもって紹介したかがわかり
そしてそこから管理人像が身近に伝わってくるような、そんなサイトが好き。
2008-01-11 (Fri) | COMMENT (0)