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待ったをかけたい延期という非常識

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ここ数日の延期ラッシュはさすがに目に余るものがあったので
日頃から何となく感じていたことをまとめて警鐘を鳴らしてみます。

そんなわけで今回は 「延期」 というフレーズが蔓延してしまった今の状況について。

こうした 「延期」 の蔓延してしまっている状況を見て何となく思い出したのが
某宮崎県知事の言った 「宮崎県庁の常識は県民の非常識」 という言葉。

いきなり政治の話題から始まって恐縮の限りですが
まさに 「メーカーの常識はユーザーの非常識」 なのだと思います。
間に合わなかったら延期すればいい、開発とはそういうもんだ、といったメーカーの常識は
ユーザーにとっては許されざる非常識であり重大な裏切り行為なのだと言えるかと。

そんな延期の常態化した状況をそれこそどげんかせんといかんと思うのです。

実際のところどれくらいの確率で延期がなされるかというのはわかりませんが
少なくとも延期というフレーズはとぎれることなく聞くような気がします。

メーカーの大小を問わず延期という事態が横行してしまっていて
そんな当たり前と化した状況にユーザーも慣れてしまったのか
またかと苦笑する程度で延期を深く考えることすらなくなったようにも思います。

もはや常態化した延期ですが、そもそもどうして延期になってしまうんですかね?

かなめであるライターやグラフィッカーの腕が遅いのか、
プロデューサーのスケジュール管理や日程の読みが甘いのか、
広報や流通の面でそもそも無茶な設定をせざるを得なかったのか。

理由を考えようと思えばけっこう出てくるような気もしますが
結局のところユーザーにとって目に見えるのは 「延期」 という事実のみ。
裏でどんな理由があったにせよ、結果だけ見れば裏切り行為には違いないわけで。

メーカーがどんなに理由を並べたり言い訳をしたところで
作品を受ける側のユーザーには開発の実情なんて納得のしようがないと思います。

そしてさらに気になるのが延期をするときの理由。
「さらなるクオリティアップのため」 なんてフレーズをよく目にするような気がします。

ただでさえ延期という好ましくない事態なだけに少々うがった見方もしてしまい
「高みを望むユーザーの側にも延期の責任があるんだぞ」 と思えたりもするのです。
そんな風にあたかもユーザーに責任転嫁するのはまずいだろうと。

個人的には下手に言い訳をするよりも、ただ平謝りする方がよっぽどマシだと思います。

そんなこちらも当たり前と化したクオリティアップのためという理由ですが、
そもそも多少延期したくらいで本当にクオリティが高まるはとても思えないわけで。

本気で気合いを入れて制作するのであれば期日前でも集中して取り組めるだろうし
期日間際に慌てて作業したけれどどうにも間に合いそうもないので結局延期、
なんてことをするところがいい作品を生み出せるとは言い難いと思います。

例えば学生さんのレポートなんかにも似たようなことが言えるかと。

期日前に慌てて仕上げようとして何とか期日に間に合わせたレポート、
仮に締め切りが少しのびて時間に余裕ができたとしても
そのロスタイムな時間を使っていいものにできるかと言われると激しく疑問。
多少マシになったとしても根本的にはいい加減なものになるような気がします。

そうしたレポートよりも期日に十分な余裕を持って取り組んで
時間に追われることなく丁寧に仕上げたレポートの方が絶対いいもののはず。

まあ古今東西間際にならないと始めないとも言われる大学のレポートが
チームでひとつの作品を生み出すことと同じようにいくとはさすがに思っていませんが…。

いずれにせよ時間に追われていたのでは出せる力も出し切れないと思います。

少なくとも私には延期によってクオリティアップするとは到底思えません。
単純に一定のレベルにすら達していない絶望的な状況なのだと思ってしまいます。

会社という形、製品という形をもって制作するのであれば期日は遵守するべきだろうし
高クオリティな作品を期日通りに仕上げることこそが 「プロ」 なのだと思います。

プロだという自覚があるのならばしっかりとした責任を持ってほしいところ。
そうした責任を背負って自覚するからこそのプロなのだと思います。

もはや悪びれもせず延期が発表されるといった今の状況は
本来であればユーザーにとっては重大な裏切り行為。
プロであるメーカーの人たちは認識を改めて状況を打破してもらいたいと思います。

更新後記

1月19日追記 今回の内容を補足する形での記事も書きました。

» エントリーリンク [ 発売日ありきという風潮にも改革を ]

2008-01-17 (Thu) | COMMENT (4)

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延期という「祭り」をユーザー自身楽しんでいる節もあるので一概に罵倒ばかりも出来ないんですよね。
(予定通りに行けばいいのはもちろん)

突き詰めていけば延期とか「かわいい」と思えるくらいえげつないメーカーもあるから。

2008-01-20 (Sun) | ロスペド

> ロスペド さん
確かに 「祭り」 という楽しみ方もあるのかも…w

実際に延期の影響で知名度が上がった作品もあったような気がしますし
果ては延期をくり返すことがネタとして昇華しているメーカーも…。

どんなことでも楽しめれば勝ちというのもわかりますが
その結果延期という事態が蔓延しても本末転倒な気がしますよね…。
やっぱり作品そのものでこそ勝負をしてもらいたいですし。

2008-01-20 (Sun) | 朝凪優

どうもはじめまして。
実は、ちょっと前に「延期」をしたエロゲ(もう発売決まったようですが)の
グラフィックを、下請けという形で手伝いました。
その作品では、映像的に「新しい試み」をしていたのですが、結局は、その
「試み」が制作時間の見積もりを見誤らせる原因になってしまったのです。
具体的に例を挙げると作品名がばれてしまうので控えますが(w)、本来は、
全体のクオリティを均一に上げる為に選んだ手法だった筈なのに、下請けに
出す為の準備が甘かったんですね。
先方が望むクオリティを実現するには、当初与えられた製作期間があまりにみじか
過ぎた為、結局はかえって時間が掛かってしまったと。
そんなお話でした。

2008-01-20 (Sun) | 新山湯呑

延期というのはもはや必要悪となってしまった感が有りますね・・・
そこら辺のA級戦犯としてはStudioMebius・Jellyfish・Age・Overflowなどが挙げられますが、それらの延期と日常茶飯事となった1~2ヶ月程度の延期を一緒にすべきではないでしょう

製作間に合わなかったとかネタのために延期をするだけでなく、自社のタイトルの立ち位置を把握した上で競合を避ける為にずらすというのも有り得ます。1ヶ月に売れる本数には限界があります。昔みたいにいいもの作れば月末の発売日にレジにファンが何本も新作を持っていくという時代は終わりました。
普通は1~2本です。その中に自社のタイトルを入れるためには多くの人が買うであろうタイトル(最近だとTH2ADとか)の発売日を避けつつ販売店に客足が見込める日に発売日を設定するというのもメーカー側のとる手段です。
まあそういう事いうと結局1ヵ月後とかになっちゃうんですけどね
販売店としても仕入れに必要な元手のこともあるからあまりにビッグタイトルが集中するのは好ましくないです。

生々しい例を突っ込んであげれば今月末ですよ。
アレが延期と聞いてほっとした人は少なからずいるはずです

他には3月末から4月以降に延びたと言う時に考えられるのは会社組織として付きまとう決算対策です。
無理して出さなくても今期は目標達成したとかというと来期の為に繰り延べるとか…

まあ、好きなものをマイペースで作る同人とはそこが違うところではないかと

2008-01-21 (Mon) | 飛鳥井 誠一




 

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