発売日ありきという風潮にも改革を
先日書いたここ最近の延期ラッシュに待ったをかけたいという記事ですが
前回紹介した 「てきとうなもの さん」 に続いて
「独り言以外の何か さん」 「日々の徒然 さん」 「風とレモンと さん」
にも捕捉していただいたようです、どうもありがとうございます。
» エントリーリンク [ 待ったをかけたい延期という非常識 ]
こう話題が広がっていくと私としても書いてよかったと思うわけですが
それだけ延期ラッシュについては関心が高いというのもまた複雑ですね…w
何というか業界の 「構造改革」 をせまられているのかもしれません。
さて本日はそんな延期ラッシュについての記事の補足でも。
「風とレモンと さん」 の延期肯定意見をもとに改めて考えてみました。
ユーザーに支持されるメーカーとは
さて私の書いた記事は延期ラッシュに対する否定意見だったわけですが
「風とレモンと さん」 は逆に肯定意見を書かれているようです。
» 関連リンク [ ゲーム製作においての延期について ]
私の意見もバッサリと切られていますがそれだけに私にとっては貴重な意見。
こうして否定意見と肯定意見が並ぶと改めて問題を見直すことができそうですね。
そんなわけで補足を兼ねてもう一度件の問題について考えてみました。
まず延期してでも期日に余裕を持たせた方がクオリティの高い作品に仕上がる、
ともとらえられる表現をしてしまい、秋燕さんが矛盾を指摘された部分についての補足を。
そもそもメーカー側も期日を守ろうと直前に慌てて作業を進めているはずですし
そうした期日間際の時間に追われる中でできあがった土台にはいくらつぎはぎしたところで
作業全体を通して精神的余裕のある中で完成したものにはかなわないということです。
それだったら最初から余裕のある期日設定をした方がいいと思うわけで。
さすがに慌てもせずさっさと延期決定なんてことはないと信じていますので…。
それから延期を極力やらかさなかった代わりに倒産してしまったKIDについて。
個人的には延期をしなかったというのが直接倒産につながったとは考えていません。
確かに晩年の作品であるWeAre*や龍刻なんかは
もう少し時間をかければいいものが仕上がっただろうにとは思いますが
だからといって少し発売延期して開発を続けたところでどうにかなるものでもなく
コンセプトはそのままに根本から練り直す必要すら感じています。
ちなみに、個人的にメモリーズオフ#5はよかったと思っていますが…。
何にせよもはや自転車操業と化していた晩年の経営状態では
開発を始める段階で多少延期をしたところではどうにもならないとわかりきった短い期間が
制作スタッフよりも上の人たちからの指示でなされていたのだと思います。
そうした短い期間に合わせる形で企画書の段階から
ある程度のクオリティで妥協するような決定があったのだとすれば
それはもはや延期という話以前の問題のようにも思えます。
確かに晩年のほぼ月1本ペースの作品リリースは無茶だったと思います。
KIDの倒産は延期をせずに作品を出し続けたからというよりは
延期したところでどうにもならないペース配分が指示された中で
クオリティを妥協して開発せざるを得なかったことに原因があると思います。
結局は似たような話ですがびみおにニュアンスが違うことを理解してもらえればと。
話題を戻しますがメーカーの発表する 「発売日」 はあくまで 「予定」 であって
それを 「確定」 として揺るがないものとしてとらえるユーザーは
メーカーからすれば 「ユーザーの常識はメーカーの非常識」 なのかもしれません。
開発の実情もお構いなしにただクオリティの高いものを期日通り提供する
ということが当たり前と思っているユーザーの常識もまたしかり。
そうしたユーザーの常識が必ずしも実現しやすいものではないということは
メーカーの実情を知らないユーザーにも何となく理解はできますが
一方でユーザーの期待する常識というものを非常識ととらえるメーカーが
はたして多くのユーザーから支持されるのかどうか…。
非常識だとは感じてもそれに近づけようと努力するメーカーこそが
ユーザーからは愛されるのではないかと思います。
とは言え確かに今の発売日ありきという風潮も問題かもしれません。
完成が不透明ながらも風潮に押されて発売日を設定してしまい
結局間に合わずに叩かれてしまう被害者のようなメーカーも中にはあると思います。
こうした部分は確かに 「構造改革」 が必要だとは思いますが
だからといって延期という裏切りが横行していいというわけでもなく
ユーザーとメーカーの双方が改善していくべき問題だと思います。
まあ延期肯定の意見をいただいて参考にしておきながら
結局やっぱり延期否定の意見を書く私もけっこう頑固なのかもしれませが…。
何にしても秋翼さん貴重な意見ありがとうございました。
いずれにせよユーザーに愛されるということを目標に
メーカーには成長を続けてほしいと思います。
2008-01-19 (Sat) | COMMENT (2)
COMMENT
別の似たような業界だと、一先ず日付を決めないと銀行の融資を受けられないとか何とかいう話を聞いたことありますけど、エロゲ業界はどんなもんですかね。
宣伝時に発売日未定だと雑誌の後ろの方にしか載せてもらえないから・・・とか?
2008-01-19 (Sat) | 矢塚
> 矢塚 さん
もし違っていたら申し訳ないですが、中西矢塚さん…ですかね?
何はともあれコメントありがとうございます。
資金調達という観点もあるんですね…。
確かに発売日という目標が定まっていない状態では
銀行としても融資しにくいというのはわかるような気がします。
もうひとつ雑誌についてですが
個人的にむしろ雑誌もとい編集者がどういった根拠で
特集を組む作品を決めているのかというのが非常に気になりますw
2008-01-20 (Sun) | 朝凪優